2025年7月4日金曜日

【シリーズ・学生たちの推し本③】『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著)

 


私が推薦する本は『推し、燃ゆ』である。この本は、主人公の一人の女子高生が推しの炎上により、人生を見つめ直す物語である。この物語は特に「推し」がいる人、過去にいた人におすすめしたい。
「推し」とは自分が特に好きで応援している人や物、またはその対象を指す言葉。特に、アイドルやアニメキャラクターなど、人に薦めたいほど気に入っているものを指すことが多い。
私は、生きている中で熱中できるほど好きになれるものがあることは、素晴らしいことだと思っている。しかし、その存在がいなくなってしまったら。
この物語の主人公は生きる主軸を「推し」にしていた。そのことにより、炎上で失ってしまった際に生活すらも同時に壊れてしまった。果たしてそれは「推し」なのか。それはもはや「依存」ではないのか。この物語の主人公のようになるまで応援することは「良いこと」なのか。
それぞれ人の価値観によってこの物語の見方、考え方、感じ取り方が変わる作品である。(河出書房新社、2020年、1540円(税込))