2025年7月11日金曜日

【シリーズ・学生たちの推し本④】『掟上今日子の備忘録』(西尾維新著)


私は、「掟上今日子の備忘録」を紹介します。「掟上今日子の備忘録」は、西尾維新による作品で2014年に出版された忘却探偵シリーズの1巻です。2015年にはドラマ化もされています。

「掟上今日子の備忘録」は、寝ると記憶がリセットされてしまう忘却探偵の掟上今日子が様々なトラブルに巻き込まれる体質の隠館厄介の依頼を解決していく物語です。寝ると記憶がリセットされてしまうので、今日子さんはどんな事件も一日で解決しないといけません。

この本は、一話完結の短編形式で五つの話が載っています。私が一番好きな話は第五話の「さようなら、今日子さん」です。ミステリー作家の死は自殺なのかそうでないのかを解き明かすという話になっています。

詳しく書くとネタバレになってしまうので書けないのですが、ミステリー作家の本当に書きたかったものの真相がとても素敵だなと思いました。この話では、今日子さんの謎も多く書かれており、続きがとても気になりました。寝ると記憶がリセットされるという、一見探偵に向いていなさそうな体質ですが今日子さんが早く事件を解決していく様子が面白いです。ぜひ読んでみてください。(KO)(講談社、2014年、1250円(税別))


2025年7月4日金曜日

【シリーズ・学生たちの推し本③】『推し、燃ゆ』(宇佐見りん著)

 


私が推薦する本は『推し、燃ゆ』である。この本は、主人公の一人の女子高生が推しの炎上により、人生を見つめ直す物語である。この物語は特に「推し」がいる人、過去にいた人におすすめしたい。
「推し」とは自分が特に好きで応援している人や物、またはその対象を指す言葉。特に、アイドルやアニメキャラクターなど、人に薦めたいほど気に入っているものを指すことが多い。
私は、生きている中で熱中できるほど好きになれるものがあることは、素晴らしいことだと思っている。しかし、その存在がいなくなってしまったら。
この物語の主人公は生きる主軸を「推し」にしていた。そのことにより、炎上で失ってしまった際に生活すらも同時に壊れてしまった。果たしてそれは「推し」なのか。それはもはや「依存」ではないのか。この物語の主人公のようになるまで応援することは「良いこと」なのか。
それぞれ人の価値観によってこの物語の見方、考え方、感じ取り方が変わる作品である。(MF)(河出書房新社、2020年、1540円(税込))