2025年6月27日金曜日

【シリーズ・学生たちの推し本②】『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子著・いわさきちひろ絵)


12歳頃から大切にしている一冊を読み返した。この本は、主人公であるトットちゃんが、子ども一人一人の特性を認め接してくれる優しい校長先生と出会い、自由な校風の小学校で様々な経験をしながら成長していくお話である。

好奇心旺盛なトットちゃんの予想外の行動にわくわくしたり、友達や周りの人に対するやさしさにほっこりしたりするなど、初めて読んだ時と同じように感じた部分もあれば、授業に集中できていない等、落ちつきのない部分について「変わった子」ではなく「多動性がある」と、少し教育的な視点からとらえることができるようになっていた。

作者である黒柳徹子さんの実話がもとになったお話であることから、当時、多動という特性を受け入れてくれる学校があったことに驚いた。学校の環境に適応しにくい特性をもった子どもの教育方法についてとても勉強になるため、特に教育関係の仕事に就こうと考えている人におすすめの一冊だと感じた。(SN)(講談社文庫、2015年、880円(税込))


2025年6月22日日曜日

【シリーズ・学生たちの推し本①】『魔女の宅急便』 (角野栄子/作 林明子/画)

 

読書会に際して、角野栄子作の『魔女の宅急便』の第一作目を読みました。魔女であることを決心した十三歳の少女、キキのひとり立ちの物語です。

本作品では、多感な時期ともいえる十代ならではの気分の浮き沈みや、近い年齢の子への意識がリアルに書かれていると感じました。魔女のキキとそうでない私たちという違いはあっても、一人の女の子としての悩みや考え方には共通点がたくさんあります。キキと同じ十三歳の人も、このような時期を乗り越えてきた大人も、共感や懐かしい気持ちで楽しめるのではないでしょうか。

また、キキが仕事を通して出会う人たちの存在も大切なものといえます。どんな人が、どんな目的で、何をキキに運んでほしいのか。それらを受けてキキは自分のできることを、時にはミスをしながらも元気に頑張ります。キキの仕事ぶりで、町の人がキキの存在を受け入れていくのはとても微笑ましいものでした。

キキの物語と、角野栄子先生の優しい言葉選びで、読むと温かい気持ちになれること間違いなしです。(SW) (福音館文庫、2006年、770円(税込))