12歳頃から大切にしている一冊を読み返した。この本は、主人公であるトットちゃんが、子ども一人一人の特性を認め接してくれる優しい校長先生と出会い、自由な校風の小学校で様々な経験をしながら成長していくお話である。
好奇心旺盛なトットちゃんの予想外の行動にわくわくしたり、友達や周りの人に対するやさしさにほっこりしたりするなど、初めて読んだ時と同じように感じた部分もあれば、授業に集中できていない等、落ちつきのない部分について「変わった子」ではなく「多動性がある」と、少し教育的な視点からとらえることができるようになっていた。
作者である黒柳徹子さんの実話がもとになったお話であることから、当時、多動という特性を受け入れてくれる学校があったことに驚いた。学校の環境に適応しにくい特性をもった子どもの教育方法についてとても勉強になるため、特に教育関係の仕事に就こうと考えている人におすすめの一冊だと感じた。(SN)(講談社文庫、2015年、880円(税込))