2025年6月22日日曜日

【シリーズ・学生たちの推し本①】『魔女の宅急便』 (角野栄子/作 林明子/画)

 

読書会に際して、角野栄子作の『魔女の宅急便』の第一作目を読みました。魔女であることを決心した十三歳の少女、キキのひとり立ちの物語です。

本作品では、多感な時期ともいえる十代ならではの気分の浮き沈みや、近い年齢の子への意識がリアルに書かれていると感じました。魔女のキキとそうでない私たちという違いはあっても、一人の女の子としての悩みや考え方には共通点がたくさんあります。キキと同じ十三歳の人も、このような時期を乗り越えてきた大人も、共感や懐かしい気持ちで楽しめるのではないでしょうか。

また、キキが仕事を通して出会う人たちの存在も大切なものといえます。どんな人が、どんな目的で、何をキキに運んでほしいのか。それらを受けてキキは自分のできることを、時にはミスをしながらも元気に頑張ります。キキの仕事ぶりで、町の人がキキの存在を受け入れていくのはとても微笑ましいものでした。

キキの物語と、角野栄子先生の優しい言葉選びで、読むと温かい気持ちになれること間違いなしです。(SW) (福音館文庫、2006年、770円(税込))

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